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Blue Line の藍染めは、 正藍染 と言う技法で染めています。
正藍染とは、蒅と灰汁のみを使い、微生物の力で建てた藍です。
色移りがなく、あざやかで色幅が広いのが特徴です。


発酵の力で建てる



正藍染は蒅と灰汁だけを使う建て方です。
「建てる」とは、水に溶けない藍を水に溶けるようにし、染められる状態にすることです。

藍は、本来水に溶けません。
水に溶けない藍を、水溶性に変えることで、はじめて布や糸に付けることができます。水洗いで酸化すると再び水に溶けない藍に変わり、青く発色します。

水に溶けない藍を水溶性に変える方法は、2つあります。
一つはハイドロサルファイトやブドウ糖を使った化学的に建てる方法。
もう一つは微生物の力を使った方法。正藍染はこの「発酵建て」によるものです。

藍建ての要となる灰汁は、藍建てに必要な微生物の餌となるミネラルの宝庫です。
蒅に灰汁をしっかりと食わせることで、微生物が増え、その微生物が水に溶けない藍を水溶性に変えてくれます。

建てている途中、石灰や苛性ソーダ、ハイドロサルファイト、麩などは使いません。
完全に建った後は、染液の状態にあわせて灰汁や麩、貝灰などを使い維持管理しています。

材料は全て天然素材、微生物の力で建てているので、お肌にも優しく、使い終わった染液は農業資材として利用も可能です。

 蒅
蓼藍の葉を乾燥させ、細かく粉砕したものに水を打ち100日間ほど発酵させたもの。藍建てに必要な微生物とインディゴ、微生物の餌となる有機物が含まれる。

 灰汁
堅木の灰にお湯を注ぎ、数日間置いた上澄み液。微生物の餌となるミネラルが豊富。

 麩
小麦の外皮。

 貝灰
貝の殻を焼成した粉末。



高い堅牢度


藍を水溶性に変えてくれる微生物は、嫌気性と言って酸素を嫌う性質があります。
酸化することで、微生物は働かなくなり、藍は不溶性のまま布に付着。
水に溶けないので、洗濯時の色移りの心配がありません。



豊かな色幅


通常藍ガメの寿命は平均3ヶ月と言われています。
発酵で建てた正藍染は管理によっては1年以上保つことが可能です。
インディゴがなくならない限り長く使えます。

長く使い続けたカメは、すっきりとした薄い水色に染め上がります。
薄いカメから濃いカメ。様々なカメを持つことで、水色から縹色、濃紺と、幅の広い色を染め分けることができます。




尾道と今治を結ぶしまなみ海道には Blue Line と呼ばれるサイクリングガイドがあります。
途中道にそれてしまっても、その青いラインをたどれば、迷うことなく私たちを今治へ案内してくれます。
どこまでも続く青い線は、堅牢な藍の色が続いていくようにも見えます。
正藍染の師匠である栃木県・紺邑の大川公一先生の教えをガイドとし、
自分は4000年以上続いてきた藍染めの歴史を走るサイクリストとなって次世代に伝えて行きたい。
そんな思いをこめて Blue Line と名付けました。




齋藤 知華

 Saito Tomoka

本建て正藍染染師

1983年神奈川県生まれ。
多摩美術大学テキスタイル専攻卒業。同大学大学院テキスタイル領域修了。
就職を機に尾道へIターン。
植物染めの帆布バッグの商品開発に携わる中、独学で藍建てを始める。
2016年に栃木県佐野市・紺邑の大川公一先生の本建て講習会を受講。
2020年藍染め工房「Blue Line」を起ち上げる。



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